或る雨の日


「あれ、」
「遅いとおもったら、予想通りだな」




「卑怯ですよねー、ほんと」
「なにがだ」
「だって、あたしが出るまでは降ってなかったですもん。狙ったみたいに降ってくるとか」
「曇ってるのをわかってて傘を持ってでなかったお前も悪い」
「えー。だってコンビニまですぐじゃないですか」
「歩いて10分の場所がこの状況で"すぐ"と言えるのか貴様は」
「……」
「だいたい梅雨のこの時期に傘持たずに出る奴があるか」
「……ありがとうございます」
「もうちょっと笑顔で言えんのか」




「……痛いんです、けど」
「あ?」
「だから、傘が。頭に刺さるんで」
「……」
「あ、すみません」
「謝るな! 馬鹿にしとるのか!」
「えええじゃあどうしろって言うんですか! いたっ暴力反対!」
「言葉の暴力はいいのか!」
「じゃああたしが持ちましょうか」
「怒るぞ!」




「梅雨、終わらないですかね」
「まだしばらく傘マークが並んでたぞ」
「うわー、サイアク」
「訓練は雨でもやるからな」
「言われなくてもわかってます! 雨に濡れたらハゲるって高校の時に言われたの思い出すなー」
「迷信だろうが」
「わかんないですよ。教官だってハゲるかもしれないですよ」
「俺はハゲん」
「なにを根拠に……」
「上から見下ろすな! 不愉快だ!」




「お前、肩濡れてるんじゃないのか」
「え? はあ、まあ……気にしないでください」
「気にするなというほうが無理だ」
「あー! でもほら、教官が濡れるんで!」
「俺は構わん。お前が風邪ひくほうが厄介だ」
「またそういう発言をさらりと……!」




「梅雨、早く終わると良いな」
「あれ、どうしたんですか急に」
「こうして並んでても手を繋げない。傘が邪魔だ」
「……」
「近いのはむしろ喜ぶべきか」
「……教官」
「どうかしたか」
「しばらくこっち見ないでください」
「それは暗に見ろといってるのか」
「あああもうだからこっち見ないでって!」






バカップルすぎて気持ち悪いふたり
080708
7-mori eyelid